この10数年くらいの間に起きた事ではないかと思うのですが、看護関係の研究論文に「リラクセーション」のタイトルを頻繁に見かけるようになりました。(実際には1990年代から)
心理士として医療現場でリラクセーションを用いてきた経験上、実は看護師の方が技術を持っていたら非常に有益ではないかと常々感じていました。
こんな私の感触もあながち的外れではなかったということになるでしょうか。
看護現場にリラクセーション
入院設備のある病院において、最も患者さんと密接な関わりをもっているスタッフはナースと言って過言ではありません。これは、他の職種の方が聞いても納得のいく話だと思います。病棟においては特に、主治医以上に多くの時間患者さんと顔を合わせているのです。
様々なスタッフに気を使いながら書いているつもりですが、この点については周知の事実です。
人数からしても病院スタッフの大半を占め、交代で朝から晩まで24時間体制で病棟に詰めています。
この看護師さんたちが昨今、リラクセーションを学んでいるということのようなのです。
患者さんとの関わり
もし何かの痛みや苦痛を感じながら入院生活を送っている患者さんの看護を担うとしたら、通常言葉を介した関わりになるでしょう。または、気分転換を図るために車いすを活用して庭に出るなど、そういう工夫を様々凝らしながら看護にあたってくださっています。
そんなとき、看護師さんがリラクセーションを学んでいたら、ある日には庭に散歩に出る代わりに病棟の空き部屋などでリラクセーションを行うかもしれません。散歩に出られないような雨の日もあれば、具合がすぐれないこともあるのですから、無理に連れ出すこと等できないことが多々あるものです。
看護外来
昨今看護外来という看板も目にする機会が増えました。そこでは、カウンセリングを学んでいる看護師さんも多いと聞いています。ここで、リラクセーションを用いている方もあるのでしょう。
集団実施
病棟では、時々患者さん向けの勉強会のような事が催されることもあります。
栄養に関することなら想像が付きやすいでしょうか。その場合は栄養科から応援を頼むのかもしれません。
これはリラクセーションでも可能でしょう。病棟に限らず外来でも行われています。
健康教室のような形や、眠れない人を対象とするなど様々なグループの可能性があります。
眠りの問題は、心療内科に関わらず日本中の多くの人が直面しやすい課題でもあります。ここにアプローチできることは援助の幅がかなり広がることになります。
看護師同士のケアに活用
看護の仕事は体力的にも、精神的にも激務です。夜勤などと聞いただけでその労力には頭が下がるものです。
看護師へのケアは常々注目されておりますが、そこにリラクセーションを活用することも可能でしょう。
例えば、プリセプター制度において先輩が後輩のメンターのような役割を果たすことがあるようです。
肩の凝った後輩がいたなら、学んだリラクセーション法を後輩に行ってケアすることも可能でしょう。
もちろん、思いを聞くという支え方もあるわけですが、リラックスもまた良いのではないでしょうか。
場合によっては、ペアリラクセーションという形も取れます。
さらなる意義
リラックスとは何か・・・これを看護師のみならず対人援助職自身が身をもって体験する意義は大きいと思います。リラックスとは呼吸が平静で脈も規則正しく・・・な状態などと頭でっかちな説明も必要かもしれませんが、体験していればもう少しリアリティのある言い方も可能となるものです。
対人援助職が自分自身の傷つきに意識を向けるのと同じくらい意味のあることだと思います。
研修法としても大きな意義があると思います。
まとめ
看護現場におけるリラクセーション法の取り入れは、緩和ケア領域、産科、看護師研修などの分野にみられました。
幾つかのリンク可能な論文を挙げます。