心理的安全性のある勉強会

グループワーク怖い 対人援助職のストレスにまつわること

昨今、企業運営などの場面において「心理的安全性」という言葉を頻繁に聞くようになりました。

この概念と同一視してよいか、そこは検討の余地があるにしても、安全な勉強会であることには大いに賛成です。

これが、勉強会開催の成否を分けるところではないかと考えております。

心理的に安全な勉強会とは

無茶振り

勉強会、といえばどのようなことをイメージなされれるでしょうか。

私は、「〇〇さん意見はありませんか?」などと無茶な振られ方をされ、大勢の前で恥をかくことが第一に思い浮かびます。

実際にそのような経験を何度もしておりますので、そのダメージの深さについても熟知しています。

勉強会なのだから・・・という大義名分があるからなのでしょうか、配慮を感じない暴力的なやり取りを目にすることも少なくありません。

これでは、二度と参加などしたくなくなって当然ではないでしょうか。

参加者の経験値は人それぞれであることを考えれば尚更です。

ストレスケアの勉強会で安全性について気を付ける事

ストレスケアの勉強会が上記のような有様だったら散々です。

少なくとも、ストレスケアの勉強会ぐらいは別な手法、観点で、組み立ててみてはいかがなものかと思うのです。

安全性が配慮された時空間

カウンセリングの基本の一つは、その時間が安全な場であることです。カウンセリングを学んだ人は、それを知っています。

そのままとは異なるにしても、この感覚を勉強会に反映させたいところなのです。

批判の場ではない

例えば、勉強会は批判の場ではありません。

皆が、それぞれに助け合って学びを深めていく場所です。

あれこれと指摘する

指摘とは、はっきりした批判のことだけではありません。

ストレスケアの勉強会では、「あなたの肩はやたら硬いですね」などと指摘すると、悪気はないにしても、実はあまり心地よいものではありません。

「ご自分では、肩の辺りどうです?」

こちらの態度が安全性を高めます。

閉じる自由

もう一つには、なんでも共有できることが望ましいとは思えません。

人に知られたくない事、触れたくない思いが存在します。それはあって良い事なのです。

親密は良い事だと思いますが、親密にならない自由や、時間をかける自由を尊重すべきではないでしょうか。特に、無理やりこじ開けられた距離感の近さは、脅威と変わります。

蒸し返さない

上司や同僚も参加している勉強会では、その場がカンファレンス会場になってしまう可能性があります。

するといつの間にか、誰かがダメ出しの対象になっていたり、問題視されているのです。

「君の仕事の仕方が、この勉強会でも出ているよ!」

などという言葉が平気で飛び交ってしまうのです。

また、「あいつここぞとばかりに勝手な事ばかり言いやがって、これが終ったらとっちめてやるぞ・・・全部見てたからな!」などというのもいけません。

次回以降見張られている意識で参加する結果となるでしょう。

心理的安全性をさらに高めるには

上記のような事を気を付けていたとしても、実は日常的に我々は他者に脅威を与えているものです。その点を、それぞれが自覚することで、さらに安全性を高めることが可能になると思われます。

パーソナルスペース

例えば、わかりやすいところで物理的な距離感はどうでしょうか?これはコロナウイルスの感染対策時に嫌という程意識した、ソーシャルディスタンスでの体験が参考になります。

通常2メートル離れて会話するなどとされたわけですが、だからといって全員が安心していたわけではなく、逆にもっと近くても問題ないと感じていた人もいるわけです。

客観的基準などという言い方がありますが、それ以上に、雰囲気を読み取った距離感が必要と考えてみてはどうでしょうか。

視線の当て方

じろじろ見る

視線も相手に脅威を与えることがあります。特に日本人はその傾向が強いのではないでしょうか。そらすのもまた失礼にあたることがあるため、工夫が必要でしょう。

例えば、正面で向かい合って話すのではなく角度をつけて話すのはどうでしょう。

椅子に座ったグループワークでは、椅子を動かしやすいものとして、さらに空間を広くとることで安全性の高いポジションを一度ることが出来ます。

休憩などで時間を区切る

長丁場すぎる勉強会は、途中休憩時間を設けます。学校の授業なら1コマ50分程度です。大学なら90分ですが、これは長すぎるので60分にしようという運動が持ち上がっていました。

概ね1時間以内には休憩を挟みたいところです。

また、トイレなどはいつでも行けるような雰囲気が安全性を高めます。

タイムスケジュールの遵守

同様に、予定の大幅変更は大きな脅威と化すことがあります。

「1時間までは持つ」と心を構えていた人が、講師が話続けて休憩時間が削られたらイライラしてくるものです。不満も高まれば、恐怖を感じる人もあります。

さらには、研修に参加して一日を終えた時、不意打ちで「今日の宿はこちらで押さえてあります!安心して下さい。」などという展開が本当にあります。これは安心どころではありません。帰れないのです。どこに泊まるかくらいは自由にさせてもらえないと自由な意識が奪われ、安全性は損なわれるでしょう。

グループワークを行う場合には特に注意が必要

グループワーク

グループワークなどでは、特に主催者側の気持ちが前面に出過ぎて、参加者側に無理難題を吹っかけてしまっていることがあります。

「では、10分でこのことについてグループで話し合って発表してください。まず司会者を決めて下さい。」

これはかなりプレッシャーが高いものです。だいたい司会者を決めることに5分くらいかかって、話もそこそこに終わってしまい発表の時間となるのです。

司会者は運営側が準備してはどうかと思うのです。参加者の主体性を求めるという態度が言い訳になっている可能性があります。基本的に、主催者には「安全性を守り抜く管理人」という責務があります。

自己紹介には特に配慮を要する

温かい雰囲気の中で行われるやって良かったと思える自己紹介も確かにあります。これは主催者側の工夫次第で大きく印象が変わります。

一杯話したい人もいれば、一言ぼそっと終わらせたい人、むしろ紹介してもらいたい人とそれぞれいるものです。30年のベテランと新人が同じ研修に出ていたら、感じ方は異なるものです。名前を言うだけで精一杯な人もいますし、ベテランから見られているという意識もはたらくでしょう。

だいたいは、たくさんしゃべる人が基準のようになって、他の人がプレッシャーに感じる結果になります。

これを未然に防ぐには、「特に一言ない人は名前だけで結構ですし、もう少しお話になりたい人は1分位をめどにお願いします。」などというように枠付けをすることです。

参加者同士の経験値が異なるため、誰かが主導権を握ってしまう可能性がある

主導権を握ることまでは許容できたとしても、それが高圧的な態度であったら、心理的安全性は損なわれます。

全員平等な立場で研修に臨んでいるのですから、経験値の高い人のやり方にもっていかれていないかには注意が必要でしょう。優位な立場の者が高圧的に振る舞う事こそがパワハラの中核概念ではなかったでしょうか。まさかストレスケアの勉強会の中でそんなことを起こしてはなりません。

まとめ

安全性を確保することは非常に重要であり、そして労力のかかるポイントでもあります。

ですが、これが成否を分けるので、後回しにできない所だと思います。

臨床心理士の立場からすると、心理的安全性を高めるにはエンカウンターグループなどにおける「ファシリテーター」としてのトレーニングをすることが役立つと感じました。

禁止令をたくさん作るということではなく、安全な雰囲気を高めることで様々なことが促進されていくわけです。

これらは対人援助職者が普段から実践している事ばかりですから、呑み込みも早いのではないかと思います。

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