実は、1988年以降、カウンセラーが所持する資格の一つである臨床心理士は年々増加しています。
臨床心理士は年々増加の推移を辿ってきた
下のグラフは臨床心理士合格者の推移を表しています。
あまり見栄えは良くありませんが、イメージを掴んでいただけたのではないでしょうか。
年々、増加してきました。詳しい数値は、表の方をご参照下さい。
令和4年度(2022年)の段階で40749名が臨床心理士資格を取得しています。
(もちろん、これは「取得者数」ですから、1988年段階からずっと活動を続けている人もいれば、そうでない方もいます。)
※グラフの補足:「年」と表記してありますが年度の集計です。
都道府県別臨床心理士数
都道府県別の臨床心理士数をグラフ化しました。詳細な数値は、下の表をご参照下さい。
このデータによれば、東京だけで6820名です。(2022年6月現在)一方、茨城県は520名です。
人口比率を踏まえると、
- 東京:14000000人(概ね値)に対して6820名の臨床心理士→2052人あたり一名の臨床心理士
- 茨城県:2840000人(概ね値)に対して520名の臨床心理士→5461人あたり一名の臨床心理士
他の職種も同様かと思いますが、東京に集中しており、茨城県とは人口比率で倍以上の開きがあります。
増加の背景
これは、観点により色々な述べ方が出来ますが、社会的背景を抜きにすると直接的には臨床心理士養成のための指定大学院または専門職大学院が増加したためです。
10名定員の指定校が30校増えれば、全国で300名の増員になります。
2000年頃は指定校もまだ少なく、大学院入学自体が非常に狭き門だったこともありました。実際確認できたわけではありませんが、放送大学では熾烈な倍率になったようです。
都道府県別の指定大学院数は上記のリンク先を参照すると把握できます。
一概には言えませんが、指定校の多い都道府県近郊には、その分臨床心理士が多くなる傾向があると言えるかと思います。首都圏にかなり集中していますので、不足しているという県も出ているのではないでしょうか。
以前は、学部卒後に5年間の実務経験を得れば受験資格を得ることができましたが、現在完全に移行しました。
医療関係、教育関係に従事する臨床心理士が多くを締めますが、多岐にわたる分野で活動しています。
医師も受験している
指定大学院卒業以外のルートとして、医師が臨床心理士試験を受験できる場合があります。令和4年度の段階で667名は医師でもあります。このような形をダブルライセンスと呼ぶのでしょうか?
女性が少なくとも7割以上
臨床心理士資格認定協会の該当ページに男女比率は記載されていませんでしたが、圧倒的に女性が多くなっています。
これは、大学院入試段階からの傾向であるようです。
今後の動向について
公認心理師の誕生に伴い、臨床心理士はその役目を終えたのでしょうか?
この点については様々な議論が巻き起こっており、注目していく必要があります。
臨床心理士がそのまま国家資格にスライドしたというものではなく、様々な団体の意見を取り入れ、新しい資格が創設されました。資格設計も臨床心理士と似てはいますが、ほぼ同じとも言えない形になっています。
また臨床心理士は更新制をとっています。否応なく5年に一度は、更新するかしないかという現実に直面させられることになるわけです。
つまり、臨床心理士がそのまま公認心理師にスライドしたのではありません。