臨床心理士の活動領域は非常に広くなっています。
概観すると、医療分野、福祉分野、教育関係分野、産業領域、就労分野、司法分野など人間の社会生活がある分野のほぼ全てと考えて良いのではないでしょうか。
また、医療分野一つとっても、その領域はもう少し細分化することもできます。
精神科領域、心療内科領域、身体科領域(外科、内科、産婦人科など)、またクリニックのような機関に従事する場合、総合病院に従事する場合、単科の病院に従事する場合など様々な活動のスタイルがあります。
非常勤掛け持ちがやはり多いが常勤職もある
世間一般のイメージでは、おそらく教育関係と医療関係(精神科)に従事しているという印象が強いのではないでしょうか。(教育関係も、中学、高校、大学など様々な場所における活動があります。)
また、働き方も様々で、例えばスクールカウンセラーとして教育現場に入った場合、その活動は週1回か2回程度の勤務になることがほとんどです。公立と私立でも異なりますが、多くの場合、非常勤として現場に入っていきます。
週5日活動すると考えれば、その他の曜日は、クリニックに2~3日程度の掛け持ち勤務も非常に多くなっています。総合病院では、比較的常勤雇用で従事している人も多くなっています。
専任カウンセラーの増加
10年程前に比較すると、確実に、専任の常勤カウンセラーの数は増えていると思います。かつては、上述したように、非常勤職が多く、複数を掛け持ちで活動する人がほとんどでした。
勤務先の組織側も、一人くらいは、各機関に、専任がいた方が良いと感じたのでしょうか。非常勤職ばかりでは、代えの効かない職種ですから、肝心な時に別な機関に従事しているようなことが起きてしまいます。
水曜日か木曜日のカウンセリングを希望している人がいるとしても、そのカウンセラーの勤務日が月曜日のみであったなら、不在のため、カウンセリングを受けることはできないままです。
毎日勤務しているカウンセラーならば、予定を調整しやすいものでしょうから、水曜や木曜のカウンセリングも可能でしょう。
常勤化のデメリットがあるとすれば、それは、カウンセリング以外の業務を担う必要性も増えることが挙げられると思います。管理職的立場になることもあるでしょう。その場合、カウンセリングを行える時間が徐々に圧迫されていく可能性もあるのではないでしょうか。
ただ、それを臨んでいるカウンセラーもいるにはいるでしょう。それを臨まない人はそもそも常勤職に就かないか、管理職になる前に退職するように思います。
以下は参考リンクです。
非常勤掛け持ちの多さは、臨床心理士側の迷いも関係しているように見える
これは、色々な事が言えると思いますが一つには臨床心理士側が定まらないという面があるように感じます。
自分は教育の畑の者なのか、医療の畑の者なのか・・・そもそも心理職の専門性ってどういうことなのか・・・
などと迷いはじめたら深みにはまることでしょう。
運命を享受するように、偶然のフィールドでとにかく目の前の人に役に立てるようにと真剣に取り組み人もいれば、何かが違うと感じ続ける方もあるでしょう。
どちらの在り方もわかる気がします。
精神科に長くいた人は、他の分野の面接ができないわけではなく、精神科の経験から幅広く応用が効き、逆に精神科の経験が浅い人が精神科の面接をできないものではないように思います。
つまり、心理職の独自性とは、とか、心理療法とは?とそれぞれのスタイルで探求しているということなのではないでしょうか。そこには生涯研鑽する覚悟があってのことなのでしょう。