カウンセリングの場は、安全で守られた空間であることを心がけています。
それには、物理的な安全性も例外ではなく、その時間中の安全に注意を払わなければなりません。
コロナウイルスの感染対策もその一環と言えるでしょう。
臨床心理士ができるコロナ感染対策とは
カウンセリングは、多くの場合密室で行われます。また、1回に要する時間も1時間から90分程度までの長時間です。標準的な感染対策は、日本国民の大半が高い水準で実践していますが、加えてカウンセリングの場特有の対策をする必要があります。
デルタ株登場以降は、特に換気面の対策が必要とされています。
換気とプライバシーの兼ね合いについて
臨床心理士が直面する葛藤にプライバシーとの兼ね合いが挙げられると思います。
密室で面接を行うならば、換気のために窓を開ければいいと考えますが、必ずしも
窓を開けられる環境にはありません。
窓を開けて話をすることで、会話が外に漏れてしまうためです。
感染対策だけを考えれば、窓を開けたままの面接が望ましいのだと思います。
参考サイト:ダイキン工業のHPに換気の詳細な解説がありました。
1時間に1回換気の時間を作る
窓が全く開けられないのであれば、面接の終了後に換気を行うことになります。
この場合、部屋の広さと面接に参加した人の呼吸量によってco2濃度が変わります。
どこまで、可能なのかは実験してみる必要があります。
場合によっては、狭い部屋では30分で面接を区切り換気の時間を設ける必要があるかもしれません。
又、面接が仮に1件だけの場合にも面接前から換気を行います。これはカウンセラーの呼気で部屋が満たされていることを鑑みて行います。仮にカウンセラーが感染していた場合、部屋に一人で待機していたらその部屋は呼気で徐々にウイルス濃度が高まるのではないでしょうか。
同時に面接できる人数を決める
部屋の広さによっては、3名までなどとする必要があるかもしれません。
窓を開けて本当に音漏れがあるのか実験する
窓を開けた場合、果たしてその会話は本当に外の誰かに聞こえるほどに漏れているのでしょうか。
例えば、ラジカセでラジオをかけていたら部屋の外でその内容を聞き取ることが可能でしょうか?ボリュームを最大とした場合や、小さくした場合とでも違いがあるかもしれません。
条件別の実験が必要です。
キッチンの換気扇を常時回す
キッチンにある換気扇は、なかなかの換気量だと聞いたことがあります。確かに、そこで秋刀魚を焼いても良いのですから、かなり期待できそうです。
部屋の空気を換気扇の方に流していくよう道筋を付けたらどうでしょう。
空気清浄機
これはメーカーを信じてみるしかないのだと思います。
果たして、20万円くらいの空気清浄機ならば万全なのでしょうか。
空気の流れ
換気対策が見えてきたとしても、本当にこれで良いのか?と疑問はどうしては残ります。
もう一つ注目しておきたいのは空気の流れです。思うのは、サーキュレーターを単に回したところで、それは薄めることにはつながっても、逆に人の顔の部分に運んでしまう危険性がないのかという点です。
上の図で言えば、サキュレータをどの位置に置いたら効果的なのでしょう。部屋の右隅の方に空気が滞留してしまったら、CLに近い場所の濃度が上がってしまいます。
双方の呼気が、換気扇に向かっていくような流れが望ましいのでしょう。サキュレータの2台必要かもしれませんし、風の風量つまりスイッチの強・弱も関係するでしょうか。
報道に下記のようなありました。ここまでの実験を行いたいところですが、個人レベルでは難しいでしょう。線香の煙や加湿器の湯気で実験するのはどうなのでしょう。
接触・飛沫感染への対策
デルタ株以降、換気が重要視されていますが、その他の対策も疎かにはできません。
飛沫
双方がマスクをしていれば、直接的な飛沫はかなり防げると聞きます。しかし、マスクの種類によっては、その効果が半減するものもあるため不織布が推奨されています。
カウンセリング場面においては、アクリル板を置くかどうか議論の余地があるところです。
ちょうど先の図のように、置かない場合は2mの距離を取って90度面接にすることでだいぶ違うのではないでしょうか。アクリル板があってもその高さや隙間によっては飛び越えすり抜けてしまいます。
ティッシュボックスに付着する飛沫
もう一つ懸念しているのは、ティッシュボックスです。
表面に露出している紙に、浮遊して落下した飛沫が付着している可能性は十分にあると思います。
ティッシュボックスを置く位置を工夫するか、そもそも置かないという決断するかです。
また、飛沫を最小限に留めるにはマスクを正確に着用する必要があります。個別包装のマスクを準備しておけると、何かの際には抵抗なくCLにもお渡ししやすい配慮になります。
- 参考情報:マスクの正しいつけ方 厚生労働省 / MHLWchannel
接触
接触による感染リスクは低いとされますが、その分接触頻度は回数が多いのでやはり標準的対策は欠かせません。
椅子のアーム部分などは無意識に触ってしまいますので、その手で鼻や目を触る可能性があります。
その他、ドアノブなどを含め接触頻度の多い箇所はアルコール消毒します。
また、臨床動作法などの体へアプローチする心理援助の方法を用いる際には別途対策をします。
その他、対策に役立つ資料集
世界中で多くの情報が発信されています。こちらは、徐々に更新します。