著者:【柏に開業】臨床心理士 松田卓也

喪失とカウンセリング

喪失 心理療法

カウンセリングは時に、喪失を聴くことと紹介されます。

古くから喪の作業(モーニングワーク)という言葉があります。

喪失とは

喪失というと、誰かを亡くした後の体験を思い浮かべる方が多いと思います。

特に、近縁の人の死は、大きな喪失感を伴うものであり、長い人生の中では多くの方が体験することでもあります。

又、現代社会においては、葬儀の簡略化などにも見られるように、どうしても誰かの死を悼む時間が削られつつあるようでもあります。

様々な喪失体験

そして、人の死以外にも、我々の周囲には「喪失」があります。例えば、歳を重ねて行けば、若さを喪失します。病気をすれば、健康を喪失し、試験に失敗すれば、思い描いていた未来を喪失します。事故に遭遇したという方もあるかもしれません。

そして多くの人が経験して大人になっていく喪失には、失恋も挙げられるでしょう。失恋から数々の文学作品が生まれるほどです。そのやり場のない思いを作品に託しているのかもしれません。

聴くこととは

カウンセリングで、喪失されたことが元に戻るものではありません。カウンセラーはそこで体験される、怒りや悲哀、苦悩に添うことくらいしかできないでしょう。

もし、カウンセリングの意義があるとするならば、以下のような点だと思います。

先に記したように、現代社会では日常が目まぐるしく進んでいく中で、なるべく早期の前向きさを求められるかも知れません。

悔やむことも、前向きになることも、同じくらい大事な気持ちなのではないでしょうか。

中には、気持ちの追い付かない思いをされている方もいらっしゃると思っています。

思い思いの事柄にスポットを当てる時間

このように、物事は簡単に済むことばかりではなく、十分に自分自身の思いに時間や労力、スポットをあてられる時間があっても良いのではないでしょうか。

さらに言えば、自分の気持ちなど見たくない、ということも尊重されるべきだと思っています。